為替による評価損

 一時、1ドル=83円台まで進んだ円高、いつになったら止まるのでしょうか・・・

 回復基調にあった日本経済ですが、この円高で輸出企業は輸出採算が大幅に悪化し、今後の業績に大打撃を与え、現地生産の拡大や円高を考慮した価格改定などの対策が急務になってきます。

 一方、海外から商材を購入し国内で販売する輸入企業は、過去に結んだ長期の為替予約に絡む評価損の計上を迫られるケースが相次いでいます。輸入コスト増につながる円安リスクを回避するために長期予約を結んだか、実際には想定よりも円高に進んでしまったため、評価損の計上が必要になってしまいました。

 為替予約の会計処理は決算日ごとに時価評価する必要があります。四半期や半期決算で仮に評価損を計上しても、次の期首に会計処理を白紙に戻して同額の評価益を出し、為替予約が終了した時点で損益が確定します。したがって途中解約しない限り、為替予約そのものが損益に与える影響はありません。が、株主が本業の収益を把握しにくくなるおそれがあるので注意が必要です。

                                       文責:熱田

お酒の自動販売機

国税庁で年齢確認のできない従来型の酒類自動販売機の撤廃指導を行っているのをご存知でしたか?

この8月に、国税庁より平成22年4月現在の酒類自動販売機設置状況の開示がされました。

年齢確認のできない自動販売機は平成8年では約185千台あったのに対し、平成22年4月では約9千台まで減少となりました。このうち、今後撤廃予定等のものは2千台です。ですので、実質約7千台ということになります。

だいぶ減少してはいるのですが、まだ7千台も残っているとも言えますね。

なお、改良等へふみきれない主な理由としては、「売上が減少する」、「撤廃費用又は改良型機への切替え費用の負担が難しい」、「周辺の酒販店が撤廃していない」などが挙げられています。

景気の回復を待つしかないのでしょうか?

(文責:才津)

 

少数株主利益

 100%出資子会社以外で親会社以外の株主を「少数株主」といいます。「少数株主利益(損失)」とは子会社の当期純利益(損失)のうち、親会社の出資に見合った持分以外の部分のことを言います。

 例えば80%出資の子会社があった場合、子会社の当期純利益が100だったとすると親会社持分が80となり、残りの20が少数株主利益となります。連結損益計算書では税引前当期純利益から差し引いて計上することになります。税引前当期純利益が10の場合、少数株主利益20を差し引くと当期純損失10と悲しい結果になります。子会社と一口にいっても100%所有していないと少数株主利益を差し引いたら赤字になってしまう可能性があります。

 上場企業の連結決算で当期純利益が減少する一因である「少数株主利益」が高水準で推移しています。また少数株主のいる子会社を完全子会社化(100%出資)する事例が相次いでいます(パナソニック等)。この背景にはグループ内の連携を強化すると同時に利益の外部流出を抑えたいとの親会社の思惑があるようです。

                                        (文責:熱田)

税務署からお尋ねの書類が届いたら

 株式の名義を変更したとき、不動産を売買したときや贈与を受けたとき

税務署からお尋ねの書類がきます。

これはその取引によってどのように資金が流れているかを確認するためのものです。

 普段、税務署となじみが無い場合びっくりすると思いますが

対応としては「事実を正確に」記入すればよいのです。しかし資金の流れと名義が違う場合

思わぬ税金がかかることがあります。

 複雑な場合、税理士等の専門家に相談することを勧めます。

                                       (文責:福原)

有価証券評価損

 前回、四半期決算で『資産除去債務の適用による特別損失の計上』をよく目にすると記載しましたが、もう1つよく目にするのが『有価証券評価損の計上』です。

 有価証券評価損は期末の時価が簿価を3~5割を下回った場合に特別損失として計上されます。ただ、多くの企業では四半期ごとに時価と簿価の差額を再計算する「洗替法」を採用しており四半期で評価損が発生しても簿価自体は変わりません。3月期決算企業については11年3月末までに株価がある程度回復していれば通期決算で評価損は発生しません。

 4月以降の株価下落のあおりで上記、有価証券評価損の計上が発生しています。株安による業績への悪影響を軽減する目的で保有株式を売却する動きも目立っています。株価低迷を背景にメリットの少ない企業同士の相互保有(持ち合い)を見直す動きもあるようです。

                                     文責:熱田

 

法人税額等相当額の割合が42%から45%に

取引相場のない株式等を評価する場合の純資産価額方式における法人税額等相当額を算定する際の評価差額に乗じる割合が引上げられました。

これは清算所得課税の廃止に伴うものです。清算所得の法人税の税率は事業税の翌期損金算入ができないため27.1%と低く設定されていましたが、通常の法人税率30%に変更されたことによるものです。

控除する法人税額等が3%増加することになるため株式評価額は減少することになります。
この改正は平成22年10月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した取引相場の無い株式の評価に適用されます。

                                                                                         文責:山中

資産除去債務

 株主総会シーズンが終わったかと思ったら3月期決算企業の2010年4~6月期(四半期)決算発表が7/30にピークを迎えました。上場企業の業績が収益を伴う成長に変わり半数を超す企業が増収・経常損益改善となった模様です。

 今回の四半期の決算発表で目立ったのが「資産除去債務」の適用による特別損失の計上です。資産除去債務は工場や建物など有形固定資産で将来に撤去する費用を見積もり、除去費用を減価償却費などとして損益計算書上に計上し貸借対照表にも反映する会計基準です。国際会計基準(IFRS)との共通化の一環で2011年3月期から導入されています。適用初年度となる今期は過去に償却すべきだった額を特別損失として一括計上することになります。

 外食産業やフィットネスクラブ、衣料専門店などは賃貸不動産の原状回復費用などが対象になり、電力会社は原子力発電所の解体費用などが対象になります。「資産除去債務」の適用による特別損失の計上はあるものの、特別損失計上前の経常損益は改善している会社が多いようです。

                                    文責:熱田

生命保険二重課税問題

7月6日の最高裁の判決で「年金払い形式の生命保険に相続税と所得税の両方に課税するのは違法」とされたのを受けて政府は還付の対象を年内にも決定する方針を決めました。

いままでは受け取る保険金のうち、元本部分が相続税の対象になり、元本+運用益部分が所得税の対照になっていました。

判決では元本部分が二重課税と判断されたため、元本部分にたいして課税された所得税について還付をすることになりますが、保険会社がその抽出作業を迫られているため範囲の確定が難しいようです。

今回の判決以外の保険(学資保険など)をどこまで含めるか、何年分まで含めるか、元本部分の金額をどこまでふくめるかを明らかにしなければなりません。

いずれにしても納税者が自分で計算をして更正の請求をするのではなく、保険会社からの通知を受けてから、通知書にもとづいて還付請求すればいいことになります。

文責:内藤

 

中小企業の会計指針

中小企業庁は中小企業の会計処理に関する新しい指針を策定するそうです。

 従来も日本公認会計士協会や日本税理士会連合会などが作った「中小企業の会計に関する指針」(最新版は2010年4月に公開)がありました。従来の指針は棚卸資産の時価評価や税効果会計、減損会計、退職給付債務などの適用を原則としており、レベルが高すぎて中小企業の中でも会計参与を置くような会社しか利用していないのが現状でした。

 そこで新たに作る指針は中小企業の実態に即し、中小企業の経営者に容易に理解され、国際基準の影響を受けないものとし、同時に法人税法に従った処理に配慮するとともに一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に該当するように留意するそうです。国内の中小企業は約260万社あり新指針はここに属する企業を対象にするものとなるようです。多くの中小企業にとって使いやすい指針として欲しいものです。                               文責:熱田

21年度分租税滞納状況

国税庁は平成21年度分の租税滞納状況を公表しました。
滞納残高は1兆4,955億円と依然多額ですが、前年比で96.2%と減少傾向にあるようです。
新規滞納は7,478億円(対前年度比83.2%)、整理済額は8,061億円(同84.0%)となり、新規発生滞納額を583億円上回ったとのことです。
この記載にある通り、国の整理が早くなった気がします。
現場の感触ですが、これまでは滞納税額が1,000万円未満のものについては書面で督促が届き、それに回答していれば差押え等の整理はありませんでした。
ここ数年間は違います。滞納税額が数百万円でも差押え等の整理に入ります。
納めていないのだから当然なのですが、毅然とした国の姿勢が伺えます。
ピークは平成10年度の2兆8,149億円でした。
滞納処分事例も公表されましたのでご紹介いたします。
1.【自宅を娘に譲渡して...】
滞納者Aは,所得税等の滞納(約3,000万円)に係る差し押さえの予告を受けた直後,自宅の土地・建物(2,400万円)を娘に譲渡したように装い,所有権を移転させる虚偽の登記を行い財産を隠ぺいした。その結果,国税局の告発により滞納者Aは逮捕,起訴され,懲役1年6月(執行猶予3年)の刑が確定した。
2.【退職慰労金を取り消され...】
A社は融資銀行から返済を迫られ,貸ビルを売却して返済したことで,収入源を失い貸ビル売却に係る消費税(約2,500万円)を督促した時点で,その徴収が困難になっていた。しかし,その売却代金の使途を調査したことで,A社の代表者の妻である取締役Bに退職慰労金(約2,400万円)が支払われており,自宅の購入資金に当てていることなどが判明した。そこで,税務署はその退職慰労金の支給の取消しを求める詐害行為取消請求訴訟を提起した結果,退職慰労金の支給を取り消した上で,取締役Bに同額を国に支払うことを命じる判決が下された。
3.【辞書をくり抜いて...】
滞納法人Aは,源泉所得税等(約240万円)を滞納しており,納税の誠意を示さなかったため,捜索に着手。事務所の枕元の本棚の分厚い辞書(広辞苑)の内側がくり抜かれ,帯封のついた札束(400万円)が隠されていた。その結果,滞納国税の全額を自主的に納付した。
4.【納税計画を出さないことで...】
滞納法人Aは,法人税等の更正処分を受けたが,納税せず,その後も新たに滞納するなど,法人税等の滞納税額が累積4億円にのぼっていたが,具体的な納付計画を示さなかったため,国税局でプロジェクトチームを編成。調査対象が1都8県にわたることから,国税局の徴収職員61人を動員。代表者Bの自宅(1箇所),事務所・営業所(15箇所)を捜索,取引金融機関(5箇所),取引先(41箇所)を一斉に調査した結果,売掛金(2億3,000万円),現金(1,000万円),手形小切手(1,000万円),貴金属等(100万円)を差し押さえ,取立て,公売を実施した。

(文責:才津)